恐怖のインター日記その5


某月某日 某所より偉い人たち来る

 「インターネットの効能」を尋ねられる。もし,これが一言で言えるようになってしまったら,インターネットの成長はおしまいだと思いません?
 あれもできるしこれもできる。もしかしたらこんなことも・・・というところにインターネットの魅力があると思っているんだけどなぁ。こういう答えじゃ納得しないよね。

 ところで,現在これを読んでいる人で,インターネットの導入に携わった人がどのくらいいるかわかりませんが,どうやって上司を説得したのでしょうね。費用対効果を数量化しようにも,ポイント接続ではないのではっきりとした数字が出にくい。
 64Kの回線があれば,これだけのデータが転送できるからとソロバン(電卓)弾いても,みんなで使っているインターネットは混み具合も加味しないといけない。なんか巷でやっている交通調査に近いものがありますね。


生徒がんばる その1

 インターネットは第2パソコン室という部屋に設置されているのだが,サーバ1台のクライアント1台では生徒が自由に使えない(インター日記その4に書いた「第2パソコン室怪しいOS化計画」は,一部の反対にあってとん挫した)。
 そこでNetWareの外部ルータ用にとっておいたPC-9801BX2のFDモデルを,急きょつなぐことにした。といっても何もない。仕方がないので,家にあった240MBのIDEハードディスクと8MBのメモリとネットワークボードを持ってきた(何で家にあるんですかね)。
 ハードディスクをマウントする金具も,怪しい店から購入してきて即席クライアントの出来上がり。LANケーブルも自前で買ってきて,床に埋めた。自腹バラバラの赤字出欠マシンPC-9801BX2は,こうして稼働した。
 そんなインスタントPCを使わせていたが,生徒側から色々要求が出てきた。いわく「第2パソコン室は使いづらい」。こうしたとき清く正しい教師としては,こんな風に指示するのが定番である。「不便を感じたら,自分たちで何とかしよう」。

 第2パソコン改造計画が始まった。ある生徒は自宅からパソコンラックを持ち込み,ある生徒は無法地帯と化している先生機のあたりの掃除を始めた。また,ある生徒はクライアントのMacの中身を掃除したが,なぜかそれと前後してEudoraが動かなくなってしまった。
 たいへんだったのは,先生機周辺を片づけた生徒であろう。なにしろNetWareのサーバ付近はケーブルの魔掘と化している。なぜか外部ルータのパソコンとモニターの間にビデオデッキが挟まっているし(新しいオプションでしょうか?),誰かが破壊した先生用の椅子の傍らにカラープリンタが転がっている。いったん接続をはずすと,何がなんだかわからなくなるのである。
 実際NetWareのサーバマシンの鍵が行方不明になり,サーバを落とすことができなくなったらしい(全部ロックされてしまう)。その日は「このマシンは現在テスト中」という紙を貼って,警備の方の目をごまかしたのは言うまでもない。
 かくして来年は卒業してしまう生徒たちばかりで,第2パソコン室の美化作戦は完了した。大丈夫,君たちの努力は無駄にしないからね。

生徒がんばる その2

 めでたく第2パソコン室はきれいになり,非常にすばらしい環境が手に入った。だが,大切なことが忘れられていた。ケーブルの敷設である。
 ハブは部屋の前方にあるが,作成した即席端末BX2は部屋の一番後ろ。これではインターネットにつながらない。第2パソコン室は10BASE-2で,BX2に差し込んであるLANボードは5とTのポートしかない。こういう時,清く正しい教員は「つながっていないのなら,つなげましょう」という。生徒もさすがに読めてたらしく,こんな画像を作ってきた。

・・・ということで,ケーブル埋め込み大作戦が始まった。

 床をはがして,ケーブルを埋めてゆく。この作業は思ったよりコツを要する。これで彼等はまかり間違ってNTTに就職しても安心だ。
 ただ「インターネットもできまんのや」というTVのCFに対して,「おばちゃんが,こんなケーブル埋め込みできるわけないだろう!」と憤慨していた。もっともである。彼等のやるせないエネルギーは,無意味に某メーカーに向けられてしまった。某メーカー関係者の方。彼等を哀れに思ったら,励ましのメールを御願いします。
 こうして手作り端末接続計画は,とりあえず完結した。


                               YAMABUKI 10/30 1995