恐怖のインター日記その6
なければ作ろうホトトギス?
恐怖のインター日記その5で,ころがっていたPC-98をよってたかってインターネットのクライアントにしてしまったことを書いた。
ところが最近,生徒のインターネット利用者が増えたため,1台では足りなくなってしまった。しかし時期も時期。こんな時に備品のパソコンが購入できるわけもない。
そこで,「よせあつめ大作戦」が始まった。
人はなぜパソコンを作るのか
世間は広いが山吹に通っている生徒の幅も広い。ある日突然,生徒の中に秋葉原のパソコンショップの店員がいることが判明した。すかさず言った
「なんかない?」。
「怪しすぎて売れないマザーボードなら,タダであげる」。
話は決まった。備品はだめでも,額の小さな消耗品なら買える。すかさず予算をかき集めて,たくさんの部品を購入することにした。もちろん足りないところは,自腹の出血大サービスである。LANカードも,秋葉原でメーカー不明のものを購入してきた。
1日目:いよいよ組立
組み立てるといっても,生徒も教員もシロートである。組立のプロが見たら,卒倒してしまうような組立方法をしていた。なにしろ,シリコングリスは小指でグリグリとCPUにこすりつけたし,ボードのスペーサーもドライバーのお尻で叩いて入れた。
しかし,プラモデルの延長でできるだろうと甘く見ていたことを,思いきり後悔することになった。組立は午後3時から始まった。だが,電源の極性はわからないし(マザーボードに差す電源コネクタは,2個のコネクタを1個のソケットに差すのですね。しかも,黒いコードが内側になるように入れないとだめなんて,どこにも書いて無いぞ!),CPUの1番ピンもなかなか見つからない。
マザーボードのマニュアルが,きたないコピー数枚だけ。それでもあるだけましと思って見ても,実物と説明書の図がずいぶん違う。説明書には無いジャンパがボードにはあるし,ボードにはないコネクタがマニュアルにはあることになっている。
メモリはPentiumの場合は2枚一組でということは知っていた。しかし,4つあるソケットのどこに2枚差せばいいかはわからない(ギリギリで思い出した。0番からですよね)。
とうとう時計は午後7時をまわった。
それでもなんとか,配線は終了した。さて,いよいよケースにマザーボードをおさめる時が来た。ところが,電源スイッチのケーブルがじゃまをして,マザーボード上の端子ピンの一部をおしつぶしてしまうのである。どうやってもうまくいかない。
結局,「このマザーボードにこのケースは合わない」という結論を導きだし,ケースを交換してもらうことにした。しかし,普通の手続きを行って配送してもらっていたら,何日かかるかわからない。そこで,直接店に出向いて交換してもらうことにした。
有志(勇士?)の生徒2名が,夜の秋葉原に繰り出してケースを交換してきた。戻ってきたときには8時をすぎていた。
さすがは新しいケース。ケースには見事におさまるが,・・・・・ケーブルが足りなかった。そう,ハードディスクとCD-ROMの2台の装置があるのに,おまけに付いてきたIDEケーブルは,接続口が1つしか無いタイプなのであった。ありゃりゃ。
しかも今度のケースは,パラレルのポートまでケーブルが届かない。もう,これは見て見ぬふりをして,動くんだからよしということにした。
ついでに言うと,マザーボードはサウンドブラスター互換音源のチップが載っている。しかし,音源の機能とその端子を結ぶケーブルが付属してこなかった。あるのに使えない状態なのだ(もっともスピーカーもないんですけど)。
2日目:日付変更線を越して・・・
ということで,翌日自宅にあったIDEケーブル(なぜかSCSIマシンなので)に取り替えて再度挑戦。ところがハードディスクが回転を始めない。よく見たら,ケーブルの取り付けが反対だった。
ケーブルは直したが,まだ回らない。なんとハードディスクがシングルモードになっていたのである。IDE機器が2台の時には,設定をマスターとスレーブにしなければ動作しなかったのだ。ところがジャンパの図解が無い。ついに市販の本を買い求めた。
ようやく電源ONでハードディスクが回転を始める・・・が,今度はフロッピーにアクセスにいかない。これもさんざん原因を探したあげくには,コネクタのAドライブ用とBドライブ用の口を間違えていたことが判明した。しかも左右逆(フロッピードライブのケーブルには2台のドライブが接続できるように,2つのコネクタが付いています。でも,どっちがAドライブ用とは,書いていないぞ!)。
キーボードにもいろいろあるのね
さて,起動しようと思ったそのとき,重大な問題に気が付いた。キーボードがなかったのである。
事務に購入品目一覧を渡した表には存在している。その後注文の過程で抜けてしまったのである。コンピュータ電気無ければタダの箱。キーボード無くてもタダの箱だ。
キーボードを買ってくるのは,また1日が過ぎてしまう。そこで,窮地にたたされた我々が目を付けたのは,とんでもないところであった。
本校では,3Fと4FのNetWare同士が接続されているが,この2つのネットワークを外部ルータでルーティングさせている。この外部ルータにはAT機を用いていた。このキーボードをひっこ抜いたのである。もちろん,そんな高度な授業は,めったに行わないであろうという勝手な判断だ。問題なく稼働していればいいのだ。もし授業でネットワークの実習が行われたとき,ハードウェアトラブルということで報告しておこう。どっちにしろ,真っ先に疑われるのは私である。
ところがどっこい,抜いたキーボードはPS2コネクタ。こちらが組み立てているマザーボードはATコネクタ。形状が合わず接続できない。かくして,クライアント稼働はさらに翌日にもつれ込んだ。
3日目:OSのインストール,そして・・・
新宿にて自腹でキーボードのコネクタを購入し,学校へ。キーボードを接続し,電源ON。めでたく動作した。
なんとかPC-DOS Ver7のインストールにも成功し,いよいよ本命のWindows95をインストールしようとsetupを始めた。そこで気が付いた。しまった,このマシン用に購入してきたWindows95はアップグレード版だったのである。うっかりWindows3.1は自宅に忘れてきてしまった(OSコレクターの私の家には,何種類もWindows3.1がある。ちょっとでもバグ対策が出ると購入してしまうのであった。Windows95も,いくつもある。Windows95は発売初日に購入したが,決して徹夜していない。生徒の中には,いまだに疑っている者もいるが)。今から取りに戻っていては日が暮れる。また一日完成が伸びるのもごめんだ。
ここは超ウルトラ技でインストールすることにした(マイクロソフトさん,ごめんなさい。でも,決して不正ユーザではありませんから)。
実は,以前のクライアントのPC-9801BX2用に買ってきたWindows95もCD-ROM版であった。CD-ROMドライブを持たないBX2のため,ネットワーク経由で別のマシンにCD-ROMを入れて,そこからインストールしたという苦労もあった。
OSのインストールはできたのだが,なぜかネットワークカードを認識しない。やはり怪しいLANカードではだめかとおもい,天下のインテルのものと交換してみた。しかし,それでもWindows95では「その他のデバイス」として認識されてしまう。
解決策はフロッピーにあった。英語のラベルが貼られているフロッピーには,てっきりDOSとWindows3.1のドライバだけが入っていると思っていた。しかし,中にはしっかりとWindows95のドライバが入っていたのである。Windows95のハードウェアデバイスで「その他のデバイス」として認識された時点で,フロッピーのドライバを組み込むだけでよかったのだ。これを灯台もと暗しという。
かくして,生徒自作のよせあつめ1号は完成したのである。
教訓:普通の高等学校では,すなおに備品でパソコンを購入しましょう。
その後
本体ケースに付いているサービスコンセント。よし,ここにディスプレイのコンセントを差し込もう,と思ったがささらない。えーーーーなんで?。日本のACコンセントはささらないのである。ありゃりゃ。
怪しいものには最高のものを入れるということで,拡張カードには最高のものがささっている。まず,ビデオはカノープスのPowerWindow968。そして100Mbpsにも対応するインテルのLANカード,そして現在SCSI機器ひとつも無いのにささっているアダプテックのSCSIカード。そのすべてがPCIで接続されているという贅沢なPlug&Playマシンである。
プラモデルパソコンではあるが,性能は最高になったのだ。
マザーボード :Intel エンデバー(なんか変,ロット不明)
CPU :とりあえず動いているPentium 133
メモリ :EDO 8MB x 2(調達先不明)
ケース :メーカー不明
フロッピー :トムキャット製
ハードディスク:WesternDigital 1.2GB(一応新品)
ビデオカード :PowerWindow968(一応新品)
ディスプレイ :ワープロ準備室のノートパソコンにつながっていたものを拝借
キーボード :外部ルータのものを拝借(Canon製)
マウス :型落ちしたマイクロソフトマウス
CD−ROM :天下御免の東芝製
YAMABUKI 12/25 1995