恐怖のインター日記その13
ウニの呪い
うに踏んじゃった
8月の土日にかけて,一泊二日で青森の海まで行ってきた(遠いよー)。私は生まれてこのかた海といえば砂浜のイメージしかなく,当然そのつもりで出かけていった。
ところが現地には砂浜どころか平らな場所が無く,岩がゴツゴツの中に入って泳ぐのであった。足を痛めるというので,履いていた健康サンダルのままで海に入ったが,ちょっと泳ぐとすぐ脱げてしまう。イライラしてたら,岩ですべって転んでしまった。
よく見たら,岩にはまるでゴキブリのように「うに」がびっしりと貼り付いていたのであった。
「なななななんだこりゃ」
うまそうなんて考える余裕もなく,あぁ醤油でも持ってくればよかったなんて考える余裕もなく,どこかでホカホカご飯が売っていないかしらなんて考える余裕もなく(くどい),チクッと足に痛みが走った。
海から上がって見てみたら,なんと足にうにのトゲが入っているじゃありませんか。入っているのと逆の方向へ爪で押しても抜けてこない。かくしていっしょにいた親戚の小学校の先生に,大手術を頼むことになった。裁縫針でチクチクとほじくり出すのであった。3本も。これがまた,すんごく痛かったです。
今度ウニ丼食って,うらみをはらしてやるー。
ついにギセイ者出る!
っていっても自分のことですが,9月某日に入院しました。ともかく病院というのは,原因が不明のままでも具合が悪くて訪れると「とりあえず一本」というように点滴をうたれる。
「どちらかといえばしたくない」というと「どちらかというのなら,してください」といって一本。「かえって気分が悪くなってきました」というと「じゃぁ中身を変えてみます」といって一本。なにはなくとも,とりあえず点滴の毎日なのである。点滴を断る奴ってめずらしいらしく,看護婦さんには根に持たれるし,医者からは軽蔑のまなざしを向けられた。
点滴すると鼻の中に液のにおいが充満して,頭の後ろにじわっと汗をかく(私だけ?)。ポトポトと落ちる液を眺めていると「あぁ俺も病人になってしまったんだなぁ」と感傷に浸れる。昔の詩人や俳人なら一句ひねってしまっていたかもしれない。芭蕉さんあたりにも点滴うってもらいたかったもんだ。どこの病院に行っても待合室や廊下に貼ってあって,その俳句を来院者が眺めながら「うんうん」なんてうなづいたりして。いいなぁなんか。
医者は昔から病気と親しんでいるせいか,簡単に言ってのける。今回も「あなたの右耳の神経は片方もうだめです」ってそりゃ命に別状はないからいいけど,もうちょっとガン告知のような重みがあったってねぇ,いいと思いません?
だめったってどうすんのか尋ねたら,もう片っぽの耳ががんばって補っちゃうんだそうです。人体の神秘ですねこれは。
ずいぶん前に左目が「あんたこりゃもう,ダメだよ」なんて言われていたので,右目ががんばっていたんでしょうか。すこし感謝の意味も込めて今日は目薬をうってあげることにします。
では左耳の奥の前庭神経と三半規管の検討を祈って
「がんばれ僕らの三半規管!」
これを読んでいるみなさまも,健康には十分注意しましょう。
YAMABUKI 9/15 1996