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2008年02月27日

エヴァンゲリオン

職場の人に影響されて、いまさらながら「エヴァンゲリオン」のTV版アニメ全27話を見ました。随所に旧約聖書を下敷きにした名称などが出てくるし、題名の英語表記も「Neon Genesis EVANGELION(新たなる創世記 エヴァンゲリオン)」なので、なかなか興味深く、内容自体も面白い作品でした。

ただ、作品中で描こうとしている世界観が大規模なこと、作り手の伝えたいメッセージが多岐に渡っていること、なおかつ、作品中でやりたい事もたくさんあり過ぎだったようで、途中、随所で作り手の息切れ、予算不足、伝えたい内容の散逸などがあり、最終2話での強制着陸(というか、墜落に等しい結果)を余儀なくされたのではないかと思う。この点は誠に惜しい。。。。

色々と作品中に盛り込みたくなる気持ちは判るし、自分の能力があればそれらを全部盛り込んでも作品を完成させられるという自信があるのも判る。しかし、そこは作り手としては、断腸の想いで内容を大幅に削り、自分がその作品を通じて受け手に伝えなければならない事、このメッセージなくして作品の存在価値は無いという究極的な部分にだけに絞り込む苦渋の決断が必要だったのではないだろうか。

これだけ商業的に成功した作品なのであるから、続編やら、アナザーストーリーを作る予算は後からついてくるはずだ。初回の作品で出来なかった事は、それらの関連作品の中で実現できたはずだし、エヴァンゲリオンで得た利益を別作品に投資して実現する方法もあったはずだ。

盛り込みすぎで作品全体の焦点や魅力がボヤけてしまった事は非常に残念でした。
でも、全体評価としては非常に良くできた名作です。いや、ホントに素晴らしい。

もっとも、このような「難解なテーマ」、「色々なものをごちゃ混ぜに詰め込んだ内容」をロボットアニメ的な作品に仕上げたという事が、私を含むヲタクやマニアと呼ばれる人々の知的好奇心と「作品にツッコミ入れたい!」という欲求を見事に喚起して歴史的なヒットに繋がったとも言えます。もし、これらを作り手側が「怪我の功名」ではなく、当初から全て計画的に実行したのだとすれば、これは賞賛に値する演出であり戦略ですね。

投稿者 abiru : 12:51 | コメント (1) | トラックバック