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2008年03月26日

職人気質の功罪 ~属人化の危険性~

最近読んだ文章で印象に残った一文を紹介します。(一部加筆・修正してます。)

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組織運営は、誰かと勝ち負けを競うゲームではない。自分の正当性を認めさせれば、組織の生産性が向上するわけでもない。もちろん「おかしい」と感じた部分を正すことも重要だが、対立を招くようなやり方ではなく、できる限り協調を守った形で行うべきではないか。組織の中で「売り言葉に買い言葉」的な対立を続けていると、本当に組織の全員が力を合わせなければならない時に、組織力を活かすことができないという事態になってしまう。

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上記の一文を読んで掲題のような事を考えた。

職務成果の質をどこまでも向上させようと、こだわりを持ちつつ、取り組むという点で、「職人気質」は評価できる。しかし、常に属人化の危険性を伴う。一人で仕事をする本当の職人であれば属人化はあまり問題ではないが、組織に属し顧客にサービスを提供する形態の職務の場合は注意が必要だ。高品質のサービスは、顧客に喜ばれるが、顧客数が許容量を超過した場合や、何らかの事情で、職務継続不能になった際、顧客不満足を超えて、顧客に損害を与える事になる。なぜなら、顧客はその高品質なサービスが継続的に提供されるのを前提に顧客側の活動を計画するからだ。

このような職人気質と属人化の相反する問題を考えると、組織人として自分の職務にオリジナリティやこだわりを持ち込む場合には、細心の注意が必要である事がわかる。少なくとも、顧客が成果物の品質やオリジナリティを前提にする場合、業務の継続性という観点から何らかの対策を講じなければならない。

自分は、病気になるかもしれないし、死んでしまうかもしれない。転職の可能性も考えられるし、自分の意思や状況とは無関係に異動を命じられるかもしれない。

そんな時も顧客に迷惑を掛ける事は許されない。もし、属人化の影響を顧客に及ぼしてしまったら、顧客にとっては、ただの迷惑であり、一歩間違えば、賞賛されていたオリジナリティやこだわりも単なる頑固やヲタク性として非難の対象にさえなる可能性がある。

組織人として職務に携わるからには、自分一人の業務品質向上ではなく、組織としての品質向上・改善を考えなければならないのだろう。

その為にも日頃から自分のやり方の正当性を主張するだけでなく、自分と同等もしくは、それに準ずる品質のサービスを提供可能な仲間や、理解者を増やしておく事が職人気質に対する保険として非常に重要である。

深く自省すると共に、この問題、もう少し考えてみたいと思う。

投稿者 abiru : 22:59 | コメント (2) | トラックバック