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2007年09月25日

被告人は神様?

なんというか、タイトルを見た瞬間は訴訟大国もここまで来たかという感じですね。記事を読むと、この州議員に対する疑問が山盛りになりました。

ネブラスカ州議会議員が神を提訴
http://wiredvision.jp/news/200709/2007092023.html

この議員の宗教的背景が不明であり、正確な判断は不能ですが、米国でのニュースであること、記事中の語彙から、キリスト教をはじめとする、いわゆる「アブラハムの宗教」といわれる一神教の「神」を対象に訴訟を起こしているものと想像されます。

しかし、そもそも人間が作った法律や制度の効力が神に及ぶのでしょうか。私にはそうは思えません。それに聖書に記載されている内容に従えば、神との契約を正しく履行していないのは、我々人類の方ではないでしょうか。仮りに神との間で訴訟が成立するのであれば、契約不履行で訴訟を提起され、被告となり、罪人として裁かれるべきは、我々人類の方だと私は考えます。

ちなみにこの訴訟については、記事中の後半に書かれている以下の一文を読んで少しだけ納得できた。

> ネブラスカ州のローカルテレビ局『WOWT』は、Chambers氏が訴訟を起こした背景には、
> 州法がいかなる理由でも訴訟を起こす権利を認めていることを再確認する意図があった
> と伝えている。

無論、神との契約の有効性についてもこの世的な法律の解釈だけに沿って考えれば、当事者間の合意が無いとか、無茶苦茶な理由を付けて契約無効を主張するという考え方もあると思うけど、これはこれで、これまでの人類の歴史を否定する事にもなりかねないトンデモ理論ではある。

法律と神学の両方を学んだ人は少ないかもしれないけれど、人間と神様の関係に無理矢理法律を当てはめて考えると、頭の体操としては、なかなか面白いかもしれませんね。

投稿者 abiru : 2007年09月25日 00:58

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コメント

すごく面白い記事でした。
ご紹介ありがとう。
わたしには、記者の面白がってるユーモアのようなものも感じられたし、
この訴訟自体、いろんなことをわかっててやってるように
感じられましたが。
と同時に決してふざけているだけでもないとは思いますが。

ごめんなさい、率直に言えば、
あびさんの
>しかし、そもそも人間が作った法律や制度の効力が神に及ぶのでしょうか。・・・
>罪人として裁かれるべきは、我々人類の方だと私は考えます。
という言葉は、この記事(訴訟)へのスタンスとしては
ナンセンスな感じがします。
背景もわからずに直感でモノを云っておりますが。
赤っ恥をかくかもしれないけど。
なんか、反応として、それは「頭固いよぅ、あびさん。」って思ったの。

あと、
>一神教の「神」を対象に
と推測してらっしゃいますが、
>神と、神を信じる全宗派の信徒は、
とある通り、なのではないですか?

この訴訟は、何か途方もないチャレンジ(あるいは投げかけ)のように見受けられますが。
馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだけど、
根源にあるのは「なぜ人類はこんなに愚かなんだ」みたいな気持ちと共通するもののような気がします。

>いかなる理由でも訴訟を起こす権利を認めていることを再確認する意図
というよりは。
ということをわざわざやっているのは。
というべきかな。

だって、
>裁判所がそうした行為を行なうことが無益でないと考えるならば
とか
>神が疫病やテロの脅威を発することを永久にやめるよう裁判所命令を出すことも要求
とか、当たり前に考えて
あり得ない~ですよね。

なんていうか、あびさんが云ってることと同じようなことを
逆説的に云おうとしている、という印象を受けたのですが。
自分ならそうだなぁ。というだけですが。

わたしは一読して(ニ読かな)
Chambers氏がとても神の存在(意義)を信じていて、
同時に神への人間のあり方(向き合い方)、
信仰というもののあり方を風刺しているようにも感じました。
あ、あ、書いててこれは自分の感じ方かなぁと自信なくなってきましたが。。。

う~ん、でも、
>だが、神はいたるところに存在するのだから、ネブラスカ州の裁判所の司法権もおよぶはずだし、
>神は何でも知っているのだから、告訴通知を出す必要もない、

とか

>呼びかけて神に姿を現してもらおうと努力したが、多くの被告人がそうであるように、神は呼びかけに応じず、
結局原告は裁判に訴えるしかなかった

とか、笑っちゃいましたけどね。

笑っていいところでしょう?だよね?ちがう?

記者が
>神に対しても「コメントをください」と宗派を超越した祈りを捧げたが、すぐには答えてくれなかった。

ってのも、結びとしてウケました。

結局、
神はいるのか?いないのか?
全能なのか?そうではないのか?
全能ならば、なぜ世界はこんなにも
悪と矛盾と醜さに満ちているのだ。
というロジカルシンキングな問いを
遊ぶように突きつけているように感じました。

それへの答として、
醜くしているのは、人類の方だ、
神はあえて見守って人類に任せているのだ、とあびさんは答えるのだろうなぁ。

特定の神様を信じないわたしには、
けれど神様・・・と祈ることのできるわたしには、
やはりまだ神の大いなる計画って言葉が
どうにも胡散臭いのです。

聖書にも、ものすごーーーく人間くささ、人間の手垢を
感じるのです。

けれど、そこから、読み取る人は読み取るのだろうなぁ。
付属物や不純物をすっとばして真理だけを。

うわぉ、めちゃめちゃ長くなりました。あちゃー。

投稿者 よもぎ : 2007年09月25日 02:53

私がこの訴訟を単なるジョークや一種の問題提起として受け取らず、あくまでも法制度や人間の原罪についての問題として論じいているので「頭固い」と感じたのかもしれませんね。

無論、私もこの訴訟が本当に神を訴追する事を目的として起こされたものではない事は理解しています。また、この議員を信仰的な理由から非難するつもりもありません。

私個人はこの訴訟が州法が認める「訴訟を起こす権利」の限界がどこにあるのかという問題を提起する意味で行われているものだと理解しています。決してジョークやユーモアなどではないと理解しています。原告にとっては大真面目な訴訟だと思います。

その上で自分がこの訴訟の裁判官であったなら、どのように考えるだろうか。という視点で書いたのが、「人間が作った法制度の効力が神に及ぶ事はない。」という一文です。

そして、それを元に考えを更に飛躍させ、「もし、人間が作った法制度の効力が神に及ぶと仮定したら。」と考えた結果が、「逆に神から契約不履行で訴訟を起こされるかもしれない。」という部分に繋がっています。

ロジカルシンキングな問いを遊ぶように突きつけていると仰いましたが、私は、この訴訟は、単なる遊びに留まらない非常に難しく危険な問題を孕んでいると思います。

仮に裁判官が「神など実在しないのだから、訴訟は成立しない。訴えを棄却する。」と判決したら、どうなるでしょうか。

裁判の冒頭で大多数の人が聖書に手を置いて「神に誓って真実を述べ・・・」と宣誓する国に於いて神の存在を否定する判決は、多くの民衆の反発を招きかねません。もしかしたら、裁判官(判事)を罷免される可能性も否定できないのではないかと予測します。

あなたが裁判官であったなら、この訴訟をどのように判決しますか?

※結局、ロジカルシンキングな遊びになってますね。。。。(汗

投稿者 あびる : 2007年09月26日 01:05

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