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2005年02月05日

障害者のためのスキースクール「パルネットワーク」

◆◆◆障害者のためのスキースクール「パルネットワーク」のご紹介◆◆◆
〜なぜ、私はスキー馬鹿への道を歩むに至ったのか!?〜


■はじめに

ここ何回かスキーをネタにしたエントリを書いております。このブログを読んでいらっしゃる方の多くは既にご存知かもしれませんが、私は身体障害を持っております。このエントリは障害を持つ方でまだスキーを体験したことのない方にその楽しさを知って欲しいと考え書く事にしました。


■さぁ、あなたもゲレンデに出よう!

私が毎回レッスンに通っているパルネットワーク(http://www.palnetwork.net/)は、障害を持った方をメインのターゲットにレッスンしているスキースクールです。まだスキーというものを体験した事が無いという人、スキーなんてできるわけないと考えている人!是非、一度パルネットワークの門を叩かれる事をお勧めします。

■友人からの誘い、そして草津へ・・・。

実は、私もはじめは「スキーなんて俺にはできないスポーツだ。」と勝手に決めつけ、最初から遊びの選択肢にすら入っていませんでした。そんな私に大変革が起こったのは忘れもしない2002年12月28日のことでした。この日私は高校時代からの友人と共になぜか草津国際スキー場にいました。

かねてより友人から年末に草津に旅行に行こうと誘われていたのですが、私は当初、温泉に浸かって酒を飲むだけだと思い込んでいたのです。しかし詳しく日程を聞くとスキーをするというではありませんか!?当然私は、「俺はスキーは滑べれないからみんなで滑べりに行っておいで、その間温泉に浸かっているから」と返答したのですが、友人は「ダイジョーブ、ダイジョーブ、対策は考えてあるから」と言い一緒にスキーをしようと勧めてきます。そして半信半疑のまま草津へ向かいました。後にこの友人の無責任な「ダイジョーブ!」という根拠の無い一言が私の人生を変えてしまうとも知らずに・・・。


■初スキー、そして挫折・・・。○| ̄|_

私が草津でスキーをするにあたって考えられていた問題点は、私の障害の特徴から考えて股関節が内転し、スキーの先端が交差していまうのではないかというものでした。この問題に対する対策として友人が用意したのが、ファンスキーでした。これは長さおよそ90cm程度の短いスキーなので、一見すると、スキーの先端が重なる事はなさそうで、これならイケそうな感じがしました。この段階で友人は「あとはリフトに乗せてしまえばなんとかなる」と安易に考えていたようです。正直私も同じような淡い期待を抱きました。しかし、現実はそんなにあまくはありませんでした。スキー靴で極度に動きを制限された足、そして滑べりやすくなっている圧雪面の上ではもはや、立位を保つことすら絶望的な程に困難だったのです。リフトに乗ることすら叶わず失意と敗北感だけを胸に抱いて、レストハウスでヤケ酒のビールを飲んだ後、みんなよりも数時間早くホテルへの帰路についた事は言うまでもありません。


■不可能へ挑戦するという宿命

私は生まれつきの身体障害者です。自分の体に障害が無い状態を全く知りません。思い通りに動かない部分があるこの体は不便であることは事実ですが、そこは自分の体ですから色々思い通りに動かせない部分の機能を代替する為の色々な方法も知っています。実際、日常生活の中で全く「できない」動作というのはほとんど無くなっています。これまでの経験と試行錯誤によって多くの問題に対しては何らかの解決策が用意できていました。

しかし、そこへほぼ20年ぶりぐらいに自分には全く「できない:不可能な」課題が提示されました。それがスキーでした。私は障害を持たない人が普通にできている事を自分もできるように訓練し、不可能を可能にするようにものごこついた時から教え込まれてきました。「人と同じ事ができてはじめてお前も人として認めてもらえるんだ」そんな風に脳裏に擦り込まれてきたのだと思います。そんな中で20年ぶりぐらいに自分の目の前に叩き付けられた「自分にはできない事」がスキーというスポーツだったのです。

別にスキーができないからといって生きて行けないわけではありません。障害を持っていない、いわゆる健常者と言われる人でもスキーを滑べれない人はたくさんいます。それは理屈では判っていました。しかし、「できない事はできるようになるまで何度でもやれ。」と教えられてきた影響でしょうか。ホテルに帰ってからも東京に戻ってからもスキーができなかった事への悔しさが拭えません!次第に私の心の中で「なんとしてもスキーを滑べれるようにならなければならない!」という使命感が波紋のように広がっていきました。


■パルネットワークとの出会い

東京に帰ってからも「なんとしてもスキーを滑べれるようにならなければならない!」という使命感は日を追うごとに強くなりました。そして考えたのです。世の中にはパラリンピックという障害者専門の競技大会があり、多くの障害を持った選手がスキー競技をしているではないか!?ならば私がスキーをするための方法も何かあるはずだ!と・・・。

思い立ってからYahoo! Japanで検索を開始し、およそ30分後私はパルネットワークのホームページに出会っていました。それが、2003/01/20 のできごとでした。

それからは非常に早いスピードで事態が展開しました。毎日パルネットワークに電話をしまくり、アポイントを取ったのがたしか1/26頃、その時の電話でそのまま予約を入れて初レッスンをしたのが1/31でした。その時の感動を私は日記に以下のように書き残しています。

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2003/01/31
【 スキー 】
行ってきました上越国際!
やってきました生まれて初めてのスキーを!
いやぁ〜難しいけど、楽しいね!
おかげさまで現在下半身が全体的に筋肉痛です。
しかし、北海道にいる間にこの遊びを発見できなかった事は
残念でなりません。
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■パルネットワークでレッスンを受けて

はじめてパルネットワークでレッスンを受けてから、実はパルネットワーク以外の一般のスキースクールのインストラクターの方にもレッスンを受けました。でもそこで気が付いた事があります。それは、とにかくパルネットワークの場合は「障害者のレッスンに慣れている」という事です。当り前と言ってしまえばそれまでですが、一般のスキースクールで「障害者の人のレッスンもした事がある」というインストラクターの方と比較するとノウハウの量が断然違うと感じました。レッスンを受ける人が体を思い通りにコントロールできないんだという事を良く判った上で的確なアドバイスをしてくれていると思います。とても印象的だったのは初めてレッスンを受けた時のこと。滑走する方向を変える方法として一番最初に言われたのは次のような内容でした。

「いい?まず最初は何もしなくていいから、行きたい方に顔を向けてそっちを見て、そしてそっちへ『いきたいなぁ〜』って思って。それができたら、その次は行きたい方と逆の足の土踏まずがどこにあるか意識してみて。」

不思議なもので、言われる通りにすると行きたい方向に向けて少しずつスキーが動きました。その後も普通のスキーヤーのスタイルにはこだわらない色々な対処法を教えてもらいました。こういった独特のノウハウを持って親切丁寧な指導をしてくれる事がパルネットワークの魅力と言えるでしょう。

その他にもスキーブラといった補助器具やチェアスキーなど専門の道具も保有しているのであらゆる人のスキーレッスンに対応してくれるみたいです。盲人の方の先導やレッスンもしてくれるし、今シーズンからはポールレッスンもすると宣伝してました。とにかくレジャーとしてスキーを楽しみたい人からパラリンピックを目指したい人まで(?)一度パルネットワークの門を叩いて見ることをお勧めします!

さぁ!ゲレンデの白銀の世界があなたをまっているっ!!




■その後

2003/01/31に初めてレッスンを受けてから、もう!スキーがやみつきになってしまいました。寝ても醒めてもスキーの事を考え、オフシーズンになってもスキーの事が頭を離れません。はっきり言ってスキー馬鹿状態!2003年11月にはスキー靴を購入し、2004年12月にはスキーウェアを購入。会社に出勤する時もスキーウェアの上着を羽織っている始末です。

投稿者 abiru : 2005年02月05日 19:56

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コメント

オニューのウェアは会社に着ていくだけですか?今年のレポートお待ちしています!

投稿者 a snow flake : 2005年02月20日 20:22

衝動買いしたウェアは、その後2回ほどゲレンデで使用していますが、まだ滑るのに忙しくて写真に納めておりません。また素材ができたらエントリを投稿しますのでお楽しみに!

あぁ、その前にこのインフルエンザをなんとかせねば。

投稿者 あびる本人 : 2005年02月20日 22:02

おやおや、インフルエンザとは。体調管理もスキーのうち?まだまだ修行が足りませぬな(^^);まずはお大事に。(ネット感染しませんよね?)

投稿者 a snow flake : 2005年02月20日 22:55

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